特許実務com Patented!!

社畜だけども弁理士試験挑戦中。2015年4月-6月はアメリカ特許実務研修中

弁理士/特許技術者はクライアントにとって確認しやすい明細書を作成しなければならない

Magnifying Glass

請求項と特許明細書を作成することが知財技術者のメインのお仕事です。特許権の権利範囲を決定づける書類なだけに知財技術者のセルフチェックも重要です。また、セルフチェックだけでなく、クライアント(出願人や発明者)がチェックしやすい特許明細書を作成することを心がけるべきだと思うのです。

  • 1.読みやすい特許明細書は手間も費用も削減することができる
  • 2.クライアントが読むことを意識して書く
  • 3.発明者が明細書をチェックすることを考慮して
  • 4.知財担当者が明細書をチェックすることを考慮して
続きを読む

中国特許制度の日本特許制度との相違点まとめ

f:id:t-dicek:20161214130646j:plain


このブログはアメリカの特許実務について書いていますが、ちょっとずつネタが尽きてしまっています。深く掘ればもっとあるのかもしれませんが。

ここで、中国の特許実務についても手を広げてみようと考えています。まず、ちょっとだけ日本と中国の特許制度の主な違いをまとめてみた。

  • 出願国の制限
  • 保護対象の違い
    • ソフトウェア
    • 動植物
    • 医療行為について
  • 手続言語
  • 審査請求
  • 新規性に対する例外規定
  • 従属形式
  • OA(Office Action)に対する応答期間。
  • 補正の時期
  • 補正の目的
  • 権利の存続期間の延長制度
  • 特許権と実用新案との関係
続きを読む

中国特許の特許要件の一つ実用性について

IMG_0465

中国においても特許として成立させるためには、日本やアメリカと同じく下記の3点を満たす必要があります。
 ・新規性
 ・創造性(日本の進歩性、アメリカの非自明性と類似する要件)
 ・実用性

専利法第22条第1項は、「特許権を付与する発明及び実用新案型は、新規性、創造性及び“実用性”を有しなければならない。」と規定しています。

ここで、実用性について専利法第22条第4項で下記のように規定されています。
“実用性とは、その発明または実用新型が、製造または使用が可能であり、かつ積極的な効果を生じ得ることをいう”

今日はこの中国特許における実用性を取り上げて説明したいと思います。

  • 1.製造または使用が可能
  • 2.積極的な効果
  • 3.実用性がないと判断される発明
    • (1)再現性がないもの
    • (2)自然法則に反する発明
    • (3)唯一無二の自然条件を利用する製品
    • (4)人体または動物体に対する非治療目的の外科手術方法
    • (5)極限状態における人体または動物体の生理パラメータの測量方法
    • (6)発明として無益な物
続きを読む

訴訟の代わりに特許の有効性を争う当事者系レビュー

Scales Of Justice

当事者系レビュー(IPR:Inter Partes Review)は、特許付与後に第3者が特許の有効性を争う手段の1つになります。当事者系レビューは、旧法の当事者系再審査に代わり新設された制度になります。

まず、アメリカの特許法が改正される前には、その特許の無効を申し立てるには次の3つの手段がありました。
 ・地方裁判所における訴訟。
 ・査定系再審査
 ・当事者系再審査

この3つの制度のうち、当事者系再審査は、その制度固有する問題があり、第3者にほとんど利用されることはありませんでした。そのため、2011年の改正法によって、当事者系再審査は審査的な手続きから裁判的な手続きに変えられ、当事者系レビューとして新たに生まれ変わりました。

この当事者系レビューは、日本の特許制度でいうと無効審判に相当する手続きになります。しかし、日本の無効審判は特許を付与した手続を第三者によって行政処分を取り消しを請求する手続ですが、アメリカの当事者系レビューは連邦裁判所による訴訟の代替手続です。第三者が訴訟手続きよりも迅速かつ敷居の低い手続を提供することを目的にしています。

  • (1)背景
    • 新規性・非自明性に基づく請求しかできない
    • 第三者は直接審理に参加することができない
    • 第3者は不服の申し立てができない
  • ②査定系と当事者系2つの再審査の並存した時代
  • (2)概要
    • 付与後レビューよりもハードルが低い
    • 禁反言が課せられている当事者系レビューでも禁反言が課せられています。ただし、その禁反言の範囲はこれまでの当事者系再審査よりも合理的な範囲に適正化されています。
    • 当事者系レビューをした場合は訴訟が起こせない
    • 審理が早い
    • 訴訟的な手続も利用できる
    • 当事者系レビューも高額
    • 包括的審理ルールも採用される
  • (3)対象
  • (4)請願人
  • (5)当事者系レビューを請願できる時期
  • (6)当事者系レビューを請願する理由
  • (7)当事者系レビューの手続について
    • ①当事者系レビューの請願の方式
    • ②当事者系レビューの庁料金
    • ③当事者系レビューの請願に関する書類のページ制限
  • (8)当事者系レビューの審理開始
    • ①予備応答の機会が与えられる
    • 特許権者による予備応答の手続
    • ③特許長官による当事者系レビュー開始の決定
  • (9)当事者系レビューの後の審理
続きを読む

自社にとって不利な特許権が認められてしまった場合、早期に特許権を潰す手続・付与後レビューについて

Judge hammer


付与後レビュー(post grant review)は、特許付与後9カ月以内に第3者が特許の有効性を争うことができる制度であり、2011年にリーヒー・スミス・米国発明法によって開始された制度です。


2011年米国特許法は、それまで存続していた当事者系再審査を見直し、当事者系レビューと合わせて、付与後レビューを併設しました。付与後レビューは、特許付与後の一定期間内に第3者の異議を主張する機会を与えるという点で、日本で最近復活した異議申し立て、現行欧州特許条約における異議申し立てに類似した手続です。


付与後レビューは、特許付与の直後の初期段階で特許を見直すことによって特許制度をより効率化し、特許権及び特許制度のクオリティを向上させることを目的としています。


しかしながら、日本での旧異議申し立てが審査官と特許権者との間のみで手続が進行する査定系手続であったのに対して、付与後レビューはディスカバリーを含む裁判的手続となっています。付与後レビューは、当事者系レビューと多数の類似規定を含んでいます。


しかし、最も大きな相違は、特許が付与された後、9カ月以内に請願しなければならないのに対して、当事者系レビューは、特許が付与された後9カ月以降に請願しなければならないことにあります。

  • (1)付与後レビューが設けられた背景
  • (2)付与後レビューの特徴
    • ①付与後レビューは審理開始のハードルが高い
    • ②特許が付与されて9カ月後に請願しなければならない
    • ③審理は早期審査で処理される
      • ④訴訟における手続きも行う。
      • ⑤高額な手続費用
    • ⑥包括審理ルールを採用
  • (3)対象
  • (4)付与後レビューを請願できる者
  • (5)付与後レビューの請願の時期的制限
  • (6)付与後レビューの請願理由
  • (7)付与後レビューを請願する手続に必要なこと
    • ①付与後レビューの請願の方式
    • ②庁料金
    • ③付与後レビューの請願のための書類のページ数制限
  • (8)付与後レビュー審理の開始
  • ①予備応答
  • ②予備応答の手続
    • ③長官による開始の決定
  • (9)付与後レビューの審理中における特許権者の手続
  • (10)審理の進行
  • (11)訴訟との関係
  • (12)和解による審理終了
  • (13)決定と不服申し立て
  • (14)禁反言
    • ①請願人の禁反言
    • 特許権者の禁反言
続きを読む

特許権の有効性を改めて審査する査定系再審査について

(im)possible - 282/365

査定系再審査とは、特許権が発行された後、特許庁が先行技術に基づいて新たな拒絶理由についてその特許権の有効性を改めて審査をやり直す手続をさします。

査定系再審査は、特許権者だけでなく第3者も請求することが可能です。特許権者が査定系再審査を請求すれば、それは「審査のやり直し」となり、第3者により請求されれば「異議申し立て」として受け取ることができます。(異議申し立ての手続としては、第3者は査定系再審査の手続の他に当事者系レビューを選択することができます。)

この記事では、査定系再審査の手続について説明していきます。

  • (1)査定系再審査の使いどころ
  • (2)査定系再審査の特徴
    • ①審査の再開、異議申し立て
    • ②先行技術の対象
    • ③新たな特許に関わる問題の提起
    • ④第3者は審理に参加することはできない
    • ④クレームの拡張補正は認められない
    • ⑤手続費用が高額
  • (3)査定系再審査の請求人
  • (4)査定系再審査の請求時期と範囲
  • (5)査定系再審査の流れ
    • ①査定系再審査のきっかけ、先行技術の提出
    • ②査定系再審査の請求
    • ③査定系再審査をするか否かの決定
  • (6)査定系再審査の審理の進行
    • ①査定系再審査の拒絶理由とその拒絶理由に対する特許権者の応答
    • ②査定系再審査の拒絶理由通知とそれに対する応答
    • ③査定系再審査は特急審査で行われる
    • ④IDS(情報開示義務)
    • ⑤査定系再審査では継続出願や分割出願はできない
  • (7)効力
    • ①査定系再審査の審理決着後の効力
    • ②査定系再審査によって中用権が発生する
続きを読む

狭い権利範囲で登録されてしまった場合の救済措置。アメリカ特許では、再発行で登録クレームを拡張できる可能性がある

http://www.flickr.com/photos/128603304@N03/15672642144
photo by raymund.flandez

特許権はクレームに記載された文言によって、侵害の該否が判断されます。第3者はその権利に規定されたクレームの文言を少し変更して侵害から逃れようとするものです。


特許権者は審査の過程でもう少し広く権利化可能だったのかもしれないが、気付かないままクレームを狭く権利化してしまうこともあるでしょう。また、クレームの誤記が見過ごされ、権利化されてしまった場合に、後から気付いてしまった、なんてこともあり得ます。そんなことになってしまったら、悪意のある第3者が登録クレームの一部だけを微妙に変えて、権利回避することで、特許権者の利益が損なわれる可能性も否定できません。

そのような事態に備えた救済措置があります。それが再発行。

再発行(reissue)とは、明細書やクレームに誤りがあり、そのために特許が実施不能または無効にしてしまった場合、訂正した特許を再発行することができます。再発行は実施不能または無効である程度重大な欠陥を訂正することができます。日本の特許法では、登録されたクレームの範囲を拡張は認められませんが、アメリカの特許法では特許権が発行されてから2年以内に再発行特許出願を用いればクレームの権利範囲の拡張が認められる可能性があります。

今日はその再発行特許出願手続について説明していきたいと思います。

  • (1)再発行手続の出願人
  • (2)再発行特許出願の手続書類について
  • (3)再発行特許出願の理由を記載した宣誓書
  • (4)再発行特許出願で訂正できる範囲
    • ①元の特許権の明細書や図に開示された内容に新規事項を追加する補正はできない
    • ②現特許権のクレームに開示されている内容(シフト補正不可)
    • ③中間処理で放棄した権利範囲の再取得の禁止
    • ④クレームを拡張する範囲
    • ⑤発明者の訂正
  • (5)再発行特許出願の手続
    • ①再発行特許出願は優先的に審査が開始される優先審査
    • ②第3者による先行技術の提供
    • ③再発行特許出願の審査
    • ④限定要求などはない
    • ⑤IDS(情報開示義務)もある
    • ⑥訴訟との関係
    • ⑦Final Office Actinに対しては不服を申し立てることができる
  • (6)再発行特許の効力
    • ①再発行特許権の存続期間
    • ②再発行前の行為に基づく通常実施権(中用権)
続きを読む