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特許実務com Patented!!

社畜だけども弁理士試験挑戦中。2015年4月-6月はアメリカ特許実務研修中

アドバイザリー通知を受けた時の出願人が取る応答の方法

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http://www.flickr.com/photos/12706161@N03/8174824430
photo by TempusVolat
アドバイザリー通知とは、出願人がFinal OfficeActionに対して応答したとしてもなお、クレームが特許として認められない状態であるときに審査官から出願人に通知です。


アドバイザリー通知を審査官が出願人に通知する目的は、Final Office Actionに対して行った応答によってもそのクレームが特許として認められないことをなるべく出願人に早く通知するためです。


また、Final Office Actionに提示された拒絶理由を回避するために行ったクレームの補正が却下されたという事実も出願人に早く通知する目的もあります。


このように、特許として認められない旨及びFinal Office Actionに対する補正が却下された旨を出願人に通知することで、出願人はその後審判請求を行うか否か検討するためにアドバイリー通知は通知されます。

したがって、アドバイザリー通知は、日本の特許制度で言うところの拒絶査定に該当すると言えるでしょう。


今日のブログ記事のテーマは、そんなアドバイザリー通知の概要、出願人がアドバイザリー通知に対する応答などを取り上げていきたいと思います。

(1)Final Office Actionに対する補正の却下及びアドバイザリー通知の内容

①Final Office Actionに対する補正の却下

Final Office Actionに対する応答で行ったクレームの補正について、次のいずれかに該当してしまった場合には、審査官によってその補正は却下されてしまいます。

★Final Office Actionに提示された拒絶理由を回避できず、補正されたクレームが特許として認められる状態ではない補正、または補正されたクレームが後の審判において最適な状態ではない補正がされたとき
★クレームに新規事項を追加する補正がされたとき
★補正によって新たな調査や検討を要する新たな問題が提起されたとき

②アドバイザリー通知の記載の内容

上記を踏まえ、アドバイザリー通知の書面には、次の事項が記載されていることになります。
★補正を却下するか否か、補正を却下する場合はその理由
★補正を却下するか否か判断した上で、個々のクレームに対して拒絶理由が残る旨

アドバイザリー通知において、補正が却下されていることが明示されていれば、クレームは何ら補正されていない状態として扱われています。

したがって、Final Office Actionを受けているクレームの状態なので、もちろん特許を受けることが難しく、何かしらの応答を行う必要があります。

一方、補正が認められていたとしても、それが特許として認められるか否かとは別の問題です。アドバイザリー通知が通知されるということは、補正が認められていたとしても、その補正を考慮してもなお特許として許可しないという判断が審査官によってなされたことを意味します。


なお、補正が認められた上で、審判請求を行えば、補正されたクレームをもって審判で特許性を争うことになります。当然、補正前のクレームに差し戻すことはできません。

(2)アドバイザリー通知にはどのように対応するのか

出願人がアドバイザリー通知を受け取った後に取れる対応としては以下の4点が挙げられます。
① 継続審査請求(RCE)
② 継続出願
③ 審判請求
④ 放棄

アドバイザリー通知に対する応答は、Final Office Actionが発送された日から最大で6カ月以内の法定期間内に対応しなければなりません。この応答期間の起算日は、アドバイザリー通知の発送日ではなく、Final Office Actionの発送日であることを忘れてはいけません。


したがって、Final Office Actionの記事でも触れましたが、Final Office Actionに対してはなるべく早期に応答しておかないと、アドバイザリー通知が出された場合、その検討時間に余裕をもつことができません。(目安としては、Final Office Actionが発送されてから2カ月以内に応答できれば、アドバイザリー通知を出すとしても早期に出してくれるので、実務上それなりの対応ができるとされています。これをFinal Office Actionの2カ月ルールと呼ぶこともあります。)

①継続審査請求(RCE)

継続審査請求(Requested Continued Examination)とは、アドバイザリー通知を受けた出願もしくはFinal Office Actionを受けた同一の出願内で審査の係属を求めることをいい、実務家の間ではその頭文字をとってRCEと呼ばれる手続きです。


このRCEは、実質的にUSPTOに対して、審査のやり直しを請求する手続きになり、審判とは異なり、補正や新たな証拠を提出することもできるので、対応の自由度は比較的に高いと考えられます。そのため、アドバイザリー通知を受けた後、それでもなお権利化を希望するのであれば、RCEを行うことを第1に考えられるでしょう。


Final Office Actionに対して行った補正が補正可能な範囲を満たしていないとされてアドバイザリー通知を受けた場合には、審判を請求することよりもRCEを請求した方が好ましいように思います。

その理由は、RCEを請求すれば、Final Office
Actionにおける補正の制限を気にしなくてよくなるため、明細書の記載範囲内であれば、補正を行うことができるからです。


アドバイザリー通知において補正が却下されている場合には、単にRCEの手続きを行ったとしても、Final Office Actionを受けてしまったままのクレームで審査されてしまうことになるので、補正されたクレームで審査を希望する場合にはRCEをすると同時に、補正書(Amendments)を提出しなければなりません。


なお、RCEは2000年に改正法により設けられた制度であるので、2000年5月29日以降の出願日を有する出願についてはRCEをすることができます

②継続出願および分割出願

Final Office Actionにおいて、一部のクレームが許可されており、一部のクレームだけに拒絶理由が残っている場合には、拒絶されているクレームは削除し、許可クレームにおいて特許として権利化する方がよいでしょう。


一方で、拒絶理由を残したクレームについては、継続出願や分割出願を検討することができます。今、拒絶理由を残しているクレームであっても、クレームの記載を少し補正すれば拒絶理由は解消されるからです。


また、限定/選択要求に対して、選択しなかったクレームについても継続出願または分割出願を検討するべきでしょう。限定/選択要求を受けた際に、選択しなかった発明については、審査の対象になっていないし、RCEを行っても審査の対象になることもありません。


Final Office Actionに対して行った補正が、新規事項を追加する補正に該当するとして、補正が認められなかった場合には、一部継続出願(continuation-in-part application; CIP)をすることも方法の一つです。CIPは、新規事項を含む補正を行うことが許容されています。


しかし、CIPにおいて追加された新規事項の部分についての新規性等の判断日は、CIPの手続きを完了した日、すなわち後の出願日となります。


それ以前の先行技術が見つかってしまえば、その先行技術によって拒絶されてしまいます。先の出願の有効出願日からアドバイザリー通知を受けるまで、最低でも3年近くかかるためその間に先行文献が出てくるリスクは増えてしまいます。

③審判請求をする

審判とは、審査官の下したクレームに対する拒絶理由を不服としてUSPTOの審判部に対して、その拒絶理由の撤回を求め、再検討を請求する手続のことです。


なお、審判の詳細については、別の記事で詳しく解説したいのでそちらを参照して欲しいとおもいます。近日中に公開する予定です。本記事では、審判請求の手続の概要のみを説明するに留めたいと思います。


まず、審判でFinal Office Actionの拒絶理由が撤回され、特許査定が得られる確率は約25%程度です。この成績が高いのか否かは、出願人にごとの判断になると思いますが、一定の成果は得られるようです


審判を請求してから審決が下るまでは、数年かかると言われており、それに応じて手続費用や代理人費用等も相当かかってしまいます。したがって、よっぽど大切な特許でもない限り、審判を請求するわけにはいきませんね。審判を請求するときは慎重に決断しなければなりません。


審判では、原則として補正することができません。特にFinal Office Actionで拒絶理由を受けたクレームから補正できないので、審査官に拒絶された状態のクレームでその特許性を争うことになります、


したがって、出願人にとってはクレームが最良の状態にあると確信しているときにだけ、審判を請求をするといった具合になるでしょう。


アドバイザリー通知でFinal Office Actionに対してなされた補正が「新たな問題提起」を理由に却下された旨が記述されているときは、クレームは補正されていない状態ですので、その場合には審判請求は得策ではなく、RCEを行う方が良いでしょう。


また、アドバイザリー通知でFinal Office
Actionでなされた補正が出願時の明細書や図面に記載されていない「新規事項」を含んでいるとして、理由に却下された場合にはやはり一部継続出願(CIP)を検討した方が良いでしょう。


また、審判では審査において提出していない新たな証拠を提出することも認められていないので、それまでの審査において特許性に関する証拠提出しつくしている状態であることが、審判を行うことの前提となります。


もし、審査においてまだ検討されていない他の証拠があるのであれば、審判請求をするのではなく、RCEを選択る方が無難でしょう。


したがって、審判を請求するべきか否かの判断基準は、は、以下の状況に限られると思って問題ないでしょう。

★現状のクレームをこれ以上補正する意思がなく、かつ、全ての証拠を提出しているとき

ただし、審査を担当した審査官の法律の解釈が明らかに誤っていると指摘したい場合や審査官が下した拒絶理由が明らかに不合理である場合にも、審判請求をするべきなのかもしれません。



(3)一部拒絶

審査官は、アドバイザリー通知の書面の中で、すべてのクレームに対して特許性は認められないが、一部のクレームについては、特許として許可することを示すことができます。このように審査官から特許許可の示唆があった場合には、考えられる妥当な選択肢は次の通りでしょう。

①拒絶理由が残るクレームを削除、一部のクレームについて特許を受ける

例えば、拒絶されたクレームが先行技術からみて、特許を受けられないことが明らかである場合、拒絶理由が残るクレームを権利化する必要がなくなった場合、特許を受けられる一部のクレームのみで十分な権利範囲が保護されている場合は、欲張らずこの選択をしても良いでしょう。

②拒絶されたクレームを削除して、その削除したクレームについて分割出願をし、残った一部のクレームについて特許を受ける。


拒絶理由が残るクレームについてさらに特許性を争う意思がある場合は、この選択をすることが第一の選択肢になるでしょう。一部のクレームについては現実に特許を受けられ、分割出願で拒絶されたクレームに対して、補正をしないであるいは少し補正をすることで特許として権利化を図ることができます。


ただし、分割出願及びその後の審査に費用が掛かることについて、コストパフォーマンスも考慮して選択しなければなりません。

③全てのクレームについてRCEをする

拒絶理由が残るクレームが明らかに特許性を備えていると信じられる場合、特許として認められたクレームが技術的または経営的な見解から権利化しても使い道がないような場合などに限られるでしょう。。

④全てのクレームについて審判を請求する

③の方法でも再審査を受けられる可能性がありますが、審判を請求して争ってもよいでしょう。ただし、せっかく特許を受けられると判断されていたクレームについても、審判の過程において審判官が新たな拒絶理由が発見された場合それも拒絶されることになるでしょう。


費用面と年数を考慮して、なかなか審判を請求することはないでしょうが、再審査によって争われた結果、特許を勝ち得た特許というのは、現状、無効理由が見当たらないとする第3者にとっては潰しにくいと特許権となるので、強い特許であることは間違いないでしょう。

(4)特許出願の復活

アドバイザリー通知に対してなんら次のアクションを起こさず、その特許出願が放棄されたとみなされたとしても、一定の条件の下、その特許出願を復活させることができる場合があります。


特許出願を復活させることができる場合は、手続きの遅延してしまったこと不可避であった合理的な理由がある場合、または手続を行わなかったことが意図的でなかった場合などが挙げられます。そのような場合には、、出願人からの申請により特許出願を回復させることができます。ただし、不可避または意図的ではないことを説明するための陳述書を申請と一緒に添付しなければなりません。ここでいう、“手続の遅延の不可避な理由あるいは意図的ではない理由”とは郵便事情の混乱や天災などが理由になります。


したがって、単に期限を1カ月以上も過ぎてしまってから、意図的に手続きを遅延させたわけはないとしても、当然、認められるものではないでしょう。