読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

特許実務com Patented!!

社畜だけども弁理士試験挑戦中。2015年4月-6月はアメリカ特許実務研修中

中国特許制度の日本特許制度との相違点まとめ

f:id:t-dicek:20161214130646j:plain


このブログはアメリカの特許実務について書いていますが、ちょっとずつネタが尽きてしまっています。深く掘ればもっとあるのかもしれませんが。

ここで、中国の特許実務についても手を広げてみようと考えています。まず、ちょっとだけ日本と中国の特許制度の主な違いをまとめてみた。

出願国の制限

 日本では国内でなされた発明はどこに国でも出願することができます。
 しかし、中国では、中国でなされた発明はまず中国に特許出願しなければなりません。
 中国に特許出願してから、パリ優先権を用いて日本やアメリカ、PCT出願をします。
 中国内の外資企業や中国企業外資企業との合弁企業内でうまれた職務発明が該当吸います。

保護対象の違い

ソフトウェア

 日本で物として保護対象に認められているプログラムは、中国では保護対象になりません。また、アメリカ認められているようなプログラムを記録した記録媒体も保護対象になりません。
 日本・アメリカと同じように、中国でもプログラムにより制御された制御装置や制御方法は保護対象になります。

動植物

 日本では遺伝子組み換えなどの動植物も特許の対象になります。
 しかし、中国では微生物については保護対象になりますが、動植物が保護対象になりません。

医療行為について

 日本では人間を手術、治療または診断する方法は産業利用できないとして保護されません。(産業上、独占して利用させるべきではない、という考え方の方が正しいかもしれませんね。)
 なお、動物の治療については特許の保護対象として認められます。(動物は法律上“物”として扱われているためです。)
 一方の中国では、以下の二つを満たされれば保護対象と認められません。
  1.ヒトまたは動物が対象になるもの
  2.病気診断結果/健康状態を知ることを直接の目的するもの
 中国では動物の治療などについても保護対象にできません。
 2の条件によって、医療行為の範囲が狭いと判断した方が言えるかもしれませんね。ただし、中国での審判において、医療行為に該当するか否かが争点になったことはないので、どのように判断するのかは今後の判例を参照しなければならないでしょうね。

手続言語

 日本では、日本語だけでなく外国語での出願手続も認めていると特許法では規定されています。(この外国語はやはり英語です。)
 中国では、手続言語は中国に限定されます。

審査請求

 日本では、出願人以外でも誰でも審査請求を行えます。審査請求ができる期間は出願日から3年。優先権の主張があったとしても、本願の出願日から3年。

 中国では、出願人のみが審査請求をすることができます。審査請求ができる期間は、日本と同じく出願日から3年。ただし、日本と違う点は、優先権がある場合には、優先日から3年以内に審査請求の手続きをしなければなりません。なお、優先日から3年以内に優先権が取り下げられた場合は、出願日から起算することになります。

新規性に対する例外規定

 日本では、学会発表や、試験、刊行物発表、インターネット上での発表などが新規性喪失の例外として認められています。
 しかし、中国では、新規性の例外が認められるのは、中国政府が認める特定の展覧会での開示に限定されます。中国政府が認められた公開であることが求められ、試験、刊行物発表、インターネット上での開示は新規性喪失の例外の対象にはならないので注意が必要です。

従属形式

 日本では、多項従属項を従属する多項従属が可能。いわゆるマルチマルチクレームは日本では認められています。

 中国ではマルチマルチクレームは認められていません。

OA(Office Action)に対する応答期間。

 日本では、国内に居所がある出願人の場合、OAが発行されてから2ヶ月です。また、国内に居所がない出願人の場合、OAが発行されてから3ヶ月です。

 また、平成28年4月から日本でもOAンに対する期間延長を請求することができるようになりました。請求するにあたって延長のための合理的な理由は必要ありません。延長の請求は、最初に定められた期間を過ぎてから2ヶ月以内であれば割増手数料を支払うことで可能です。

 中国では、OAの回数によって応答期間が異なります。1回目のOAには、OAが発行されてから4カ月、2回目以降はOAが発行されてから2ヶ月以内に応答する必要があります。

 1ヶ月ごとに2回まで延長することが可能です。ただし、延長を希望する場合には、延長の請求をするときはOAの応答期間を超えるまでに延長の手続をする必要があります。

補正の時期

 日本では、拒絶理由が発行されるまではいつでも補正することができます。拒絶理由が発行された後は審査官に指定された期間に限定されます。

 中国では、補正ができる時期は次の3つの期間に限定されます。
  ①審査請求と同時
  ②審査開始通知から3ヶ月以内
  ③拒絶理由通知後に指定された期間中

補正の目的

 日本では、新規時効の追加にならない限り認められます。ただし、最後の拒絶理由の通知があった後は、限定的減縮等の要件があります。

 中国では、①審査請求と同時、②審査開始通知から3ヶ月以内にする補正は、新規時効の追加にならない限り認められます。一方で、③拒絶理由通知後に指定された期間中にする補正は、拒絶理由の解消を目的とするものに限られます。

中国特許の補正に関してこの記事にまとめました、ぜひご参考に。
patentjitsumu.hatenablog.com

権利の存続期間の延長制度

 日本では、製薬に関する特許権などに対しては、薬事法や農薬法の承認を得るために必要だった期間を補填するために最長5年の延長が認められます。

 中国では、日本のような特許権の存続期間を延長するための制度はありません。

特許権と実用新案との関係

日本では、出願は特許か実用新案の一方しか出願することができません。特許から実用新案への変更出願は審査中のみ変更することができます。一方で、実用新案から特許への変更出願は審査中及び登録後の所定期間内に変更することができます。

中国では、同じ技術ないようであっても同日に特許と実用新案の両方に出願することができます。また、特許の審査後に実用新案に変更出願することは可能です。