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特許実務com Patented!!

社畜だけども弁理士試験挑戦中。2015年4月-6月はアメリカ特許実務研修中

特許権を取っても自由に実施できるとは限らない。特許権には主従関係がありますよ。

コラム

特許権は家を建てる権利に似ている

特許権として認められた発明を独占的に実施できるわけではありません。

4年~5年をかけてようやく1件の特許権が成立します。長いこと待ったとなって、これで晴れて安心して商品が出せる、と言って、特許権があるからその特許については自由にやっても良いんでしょ?と質問を受けたことがあります。

ちょ、ちょ、ちょ待って!!特許権があるからとっいって自由にそれを使えることができる、と思っている人が少なからずいますが、それは少し間違っています。特許は、特許請求の範囲(クレーム)で示した技術範囲へ第3者が侵入することを排除する排他的独占権です。独占実施と排他的独占と少しニュアンスが異なります。


特許権が独占実施ではない、という理由は、一つの特許権の上にさらに改良された特許権を取得することも可能ですが、改良した発明の特許権は元の発明の特許権の制約を受けます。

例えるなら、他人の土地に家を建てるようで、その土地の所有者の許可があって初めて家を建てることができ、土地と家の所有者が異なり、土地と家の所有者の許可を得て、その家に住むことができます。

じゃあ、特許の話に戻すと、とある出願人は、メモリー付きICカードを使った事業をしたい、と考えていて、メモリー付きICカードに関する特許権Cを取得しました。

ただし、このICカードには、電源を切っても記憶した内容が消えない不揮発性メモリーという技術を用い、不揮発性メモリーのうちFeRAMという構造を持つものを使用していたとします。

そして、不揮発性メモリーに関しては特許権Aよりもさらに権利範囲の広い特許権A、FeRAMに関する特許権Bも存在していました。したがって、特許権の構図としては、下の図のようになっていて、特許権Cを使用するためには特許権Bを利用し、さらに特許権Bを利用するのだから特許権Aも利用する、といった構図になります。

特許権があっても独占的に実施できない


また家で例えるならば、特許権Cがその土地の権利、特許権Bがその土地に建つ家の権利、特許権Cがその家に住みたい人となります。その家に住みたい人、いわば特許権Cを持っている人は、特許権Bと特許権Cを持っている人両方の許可を得ないと、特許権Cを実施することができません。

無許可で特許権Cを実施してしまうと、特許権AとB両方の権利を侵害している(踏んでいる)ことになり、訴えられると差し止め請求されたり、多額の賠償金を請求されたり、します。ちなみに上の図で特許権D~Fの所有している権利者からは訴えられません。

そのため、自分たちが特許権を持っているからと言って、その技術を自由にまたは独占的に実施できる、というわけではありません。特許権には、技術の進歩により大抵は主従関係があり、主の権利が切れるまではその従の関係にある特許は主に許可を求めなければなりません。

もちろん、主従関係がない、まったくの新規の発明・アイデアであれば、独占的に使用することができます。上の例でいえば、不揮発性メモリーに関する特許権Aは自由に実施することができ、この主従関係では最も強い権利と言えます。