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特許実務com Patented!!

社畜だけども弁理士試験挑戦中。2015年4月-6月はアメリカ特許実務研修中

中国特許における分割出願のポイント

特許実務 特許実務-中国特許実務 特許実務-出願権利化手続

China Pavilion

特許実務で大切な分割出願がキーポイントになることがしばしばあります。クレームの内容を自社・他社製品に近づけるためにも登録時期を遅らせていた方が有利な時があるからです。

分割出願、当然、中国においても重要ですね。そこで中国の分割出願に関する特許実務について今日は取り上げたいt思います。

1.中国の分割出願の概要

分割出願が必要なのは、審査段階において発明の単一性を満たさない場合、または、請求の範囲には記載していないが当初明細書に記載した範囲内で別途権利化する必要がある場合などでしょう。

中国の分割出願の原則については日本の特許制度と同じですが、日本特許制度と中国特許制度では分割出願ができる時期的要件が異なります。また、中国特許では補正範囲が厳しく狭いのと同様に分割することができる範囲についても厳しく制限されてしまいます。


それでは、分割出願に関する中国の特許実務について、実施細則第42条の規定を確認したいと思います。

第42条
一件の特許出願に二つ以上の発明、実用新型または外観設計が含まれる場合、出願人は本細則第54条第1項に規定した期間の満了前に、国務院特許行政部門委分割出願することができる。ただし、特許出願がすでに拒絶され、取り下げられ又は取り下げたとみなされた場合は、分割出願することはできない。

2.中国分割出願の主体的要件

まず分割出願の出願人は、原出願と同一人の出願人でなければなりません。同一人でない場合は、出願人の変更する証明書を提出しなければなりません。

次に、分割出願の発明者は、原出願の発明者のうちの誰かでなければなりません。

これらの要件を満たさなければ、審査官が補正命令を出します。審査官が指定する期間内に出願人が補正をしなかった場合、その分割出願は出願を取り下げられたものとみなされます。

3.中国分割出願の客体的要件

(1)分割出願の記載事項と提出書類と記載事項

分割出願をする場合、明細書の最初の部分、すなわち発明が属する技術分野の前において、親出願の出願番号、出願日、発明の名称をを記載して、どの出願の分割出願なのかを明記しなければなりません。

その他、分割出願時には、分割出願用の出願書類とは別に、原出願書類の副本を提出しなければなりません。また、パリ優先権を主張している場合、原出願の優先権書類の副本も提出しなければなりません。

(2)分割することができるクレームの範囲

分割出願の内容は原出願の記載範囲内においてしなければなりません。原出願の当初明細書に記載された範囲を超えて分割出願はできません。原出願当初の明細書の範囲を超えてしまった場合は、専利法第43条第1項または専利法第33条の規定に反するとして拒絶理由を指摘されます。

分割出願の内容が原出願当初の明細書に記載されている範囲であるかどうかは、中国の補正制限と同様に厳しく判断される印象があります。

特に、分割出願を利用して他社の製品をカバーするクレームを作って権利化することはよくあると思います。

例えば、こんなとき分割出願をまず検討すると思います。原出願で構成要件A、BおよびCを備えたデバイスについて特許権を取得したけども、競合の製品が構成要件A、Bを備えたデバイスであった場合、原出願を根拠に構成要件A、Bを備えたクレームを作成して分割出願して特許権が取得できれば、その競合の製品に対して権利行使することができるわけです。

このとき、分割出願が拒絶されないためには、原出願当初の明細書に、構成要件AおよびBだけを備えていれば、明細書に記載した発明の課題を解決することができることが明示的にはっきりと記載されていなければなりません。例えば、実施形態では、「本実施形態ではA、BおよびCを備えた実施形態を説明したが、AおよびBを用いた装置であっても良い」などといった記載がないと明示的に記載されているとは言えません。

私の経験でも比較的に自由に分割出願をできるアメリカや日本と比べても、中国で分割出願の要件が厳しく、すぐに拒絶理由を指摘されると実感しています。中国の特許では、出願時の明細書の作りこみが日本やアメリカと比較しても大切になってきますね。出願時の明細書の質が低いと、補正や分割出願ができなくなってしまい、先行技術をどうにもこうにも回避することができなくなってしまう事態に陥りやすいです。

(3)分割出願の明細書

当然ですが、原出願と分割出願のクレームは、それぞれ異なる発明の保護を請求しなければありません。しかし、分割出願に提出うする明細書については、ぶ原出願と同じ書類を使い回してもよいことになっており、別途分割出願用に用意してもよいと成っています。

明細書を原出願から変更する場合は、例えば、原明細書にA、Bの二つの発明および実施形態が記載されてあり、分割出願のクレーム請求項で発明Bについてクレームに記載する場合、明細書においてもクレームとは直接関係のないAの実施形態に関する記載を削除して、Bの実施形態だけを残すように書き換えることがあります。
明細書を書き換えるメリットとしては、中国特許の場合、明細書が30ページを超えた場合、30ページを超える1ページ当たり約900円の追加手数料がとられるので、明細書の記載を削除して節約することがあります。化学関係の明細書になればどうしても長くなってしまうので、意外と馬鹿にできませんからね。

また、明細書のページ数が短くなるだけ、発明の要旨が審査官も理解しやすくなって審査が早くなるかもしれません。

(4)分割出願時の種類変更

日本では、拒絶査定が出てしまった特許出願を実用新案出願や意匠に変更する変更出願が認められていますが、中国では認められていません。(日本でも特許出願を実用新案出願に変更する例は少ないですが・・・)

中国特許実務では、損害賠償等の価格は安くても、権利行使が比較的容易で早い実用新案や意匠が好まれる企業も多いかもしれません。また、別の機会にテーマにするかもしれませんが、外観設計特許を特許出願と同日に出しておいた方がリスクヘッジ等としては良いかもしれませんね。

(5)分割出願の分割出願

中国でも日本と同じく、原出願(親出願)の分割出願(一次分割出願、子出願)に対して、さらに分割出願(二次分割出願、孫出願)を行うことができます。

しかし、孫出願ができる時期は日本よりも時期的要件が厳しくなっています。孫出願は、原出願(親出願)が知識産権局に係属している間及び原出願の特許付与通知後2カ月以内と一次分割出願ができる時期に限られていることに注意して下さい。


たとえ、子出願が知識産権極に係属していたとしても、既に親出願について登録料が納付されていたり、拒絶査定が確定している場合などは孫出願をすることはできません。

とすると、親出願が係属中に分割出願を検討する必要があって、ほぼ子出願と同じタイミングで孫出願を考える必要があるので、わざわざ孫出願をする必要性はないのかもしれません。

ただし、分割出願を提出する場合、願書に原出願の出願番号と出願日を記載する必要がありますので、孫出願をすることになったときは、原出願の出願番号の後、括弧書きで子出願の出願番号も記載しておく必要があります。

4.中国特許における分割出願の時期的要件

中国出願で分割出願をできる時期は以下の期間に限られています。

(1)特許出願係属中
(2)特許権付与通知書を発する前
(3)特許付与通知書受領後2カ月以内
(4)拒絶通知書受領後3ヶ月以内
(5)覆審請求手続き中
(6)覆審委員会の拒絶決定に対する行政訴訟

ここでの注意事項を書いていきます。

(1)知識産権局での係属時と登録後の一定期間

出願人は、特許権を付与する旨の通知書を知識産権局から受領した後2ヶ月の期間が経過する前に分割出願を提出しなければなりません。

当該期間が満了した後は、原出願が拒絶、取り下げ、または原出願が取り下げられたとみなれたかつその権利を回復することができない場合、すなわち知識産権局への親出願が係属していない場合に、分割出願をすることができなくなります。

(2)拒絶査定後を受けた後に分割出願を行う

審査官により拒絶査定がなされた原出願に対して、出願人は拒絶査定を受領した日から3ヶ月以内であれば、復審請求を請求していなくても分割出願を提出することができます。

復審請求を提出した場合、復審の決定を不服とし、行政訴訟を提起している期間中でも、分割出願をすることができる。

ここで、復審でも拒絶審決を受けた場合、北京市第一中級人民院に行政訴訟が3月以内に提起することができるが、分割出願の条件として行政訴訟へ提起する必要があるか否かが問題となります。

行政訴訟の提起が可能である期間であれば、行政訴訟を提起せずに分割出願をすることできるとされています。2006年審査指南改定時における国家知識産権局の解説によると、行政訴訟手続期間あるいは出願人が人民法院へ起訴することができる期間内は、拒絶審決は未だ効力が発生していな、つまり審決が確定していないので、依然として分割出願を提出することができます。

**(3)時期的要件違反
分割出願の提出日が、分割出願の時期的要件に反した場合、方式審査において審査官は分割出願が提出されていないとみなす通知書を発行し、案件を終了させます。

(4)孫出願の分割出願時期

上でも少し触れましたが、出願人が子出願について孫出願をする場合、再度提出される分割出願の提出時期は、依然として原出願において分割出願ができる時期的要件に従います。
ただし、例外亜あり、子出願に単一性がないと判断された場合、出願人が審査官の審査意見に基づき再度分割出願をすることができます。この場合は、審査官が単一性違反を指摘する場合に、審査官が分割出願を促してくれるので別途覚えておく必要はありません。

つまり、審査官の指摘に従って、単一性要件違反を回避するために孫出願を行う場合、親出願が知識産権局に係属していなかったとしても、分割出願を提出することができます。

この例外の場合、出願人は再度分割出願をすると同時に、単一性の欠陥が指摘された審査官による審査意見通知書または分割通知書のコピーを提出する必要があります。。この審査官の審査意見通知書のコピーを提出しなかった場合、分割出願の例外として認めてくれませんので注意して下さい。

上記の審査意見通知書のコピーを提出しなかった場合、審査官は補正通知書を発行してくれます。この通知が受けたとしても、出願人が補正しない場合、その孫出願を取り下げとみなす通知書を審査官が発行します。補正書を提出したとしても、出願人孫出願の規定に合致しなければ、審査官は分割出願が提出されていないとみなす通知書を発行して、案件を終了させます。


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